読書感想文⑨『眼・術・戦-ヤット流のゲームメイクの極意-』-遠藤保仁×西部謙司
こんばんは。
今日は、サッカー日本代表の試合がありましたね。南米選手権前の大事な一戦で勝利を収めることが出来て良かったですね。
出場してすぐの右サイドでのドリブルは、よくあそこが見えていたなと思いました。あそこを敵に引っかける選手は多いのですが、独特のリズムで抜けていきましたね。
個人的に「これは上手いな!」と思ったプレーは、久保建英選手が右サイドで室谷成選手に出した縦パスです。
久保選手が左足でパスを受けた後、一瞬、間を作りました。
すると室谷選手をマークしていた相手選手が、オーバーラップしてきた室谷選手についていこうと外側に動きました。
外に動いた瞬間にその相手選手の背後にスルーパスを出しました。相手は、室谷選手を見ようとするとボールが見えませんし、ボールを見ようとすると室谷選手が見えません。しかもボールに対応するためには、体を4分の1くらい回さないといけません。
相手選手のイメージはこうじゃないかと思います。
久保選手が左足でパスを受けた後は、室谷選手と距離と取っていました。内側よりにポジションを取っていました。背後へのパスコースを消して、室谷選手の足元、もしくは少し前へスルーパスが出ても、目の前に相手・ボールがある状態を作って対応しようとしていました。
しかし、一瞬の間で室谷選手がより縦へ走りこんでいきます。マークに行かざるを得ないと考え、サイドを走る室谷選手へ近づき始めた時に元々自分がいた場所にパスを通されました。
「まさか!」と思ったでしょうね。あの持ち方、あの間は、中にいる選手にパスを出すもののそれだったからです。
中にいる選手にパスを出すだろうという感覚もあり、より室谷選手に近づいて行ったのかなと思います。
最終的には、室谷選手の足元にうまく収まらず、相手にボールが引っ掛かってしまいました。すごく簡単なプレーに見えますが、一瞬の間、駆け引きが見ていて面白かったです。「まさか」となるプレーは何回見ても面白いです。
YouTubeにタッチ集がアップされると思いますので、これに注目して見ると「あ、本当だ」となると思います。こういう駆け引きが分かるともっとサッカーを面白く見れるかと思います。
こんなサッカーの話を書いたのも、今日の試合に向けてサッカー脳を鍛えようとある本を読んだからです。
■『眼・術・戦-ヤット流のゲームメイクの極意-』-遠藤保仁×西部謙司
・読んだ時間:3時間30分
遠藤保仁選手は、現役時代憧れていた選手です。コロコロPKを何回練習したことか。
遠藤選手は、ピッチ上の自分以外の「21人」が見えると言います。見えるからこそ、「そこにこのタイミングで出すの?」というプレーが出来るのです。
先ほども書きました久保選手の「まさか」と思わせるプレーが多い選手でした。さりげなくやっているプレーのひとつひとつに意味があります。
決して身体能力が高い選手ではありませんでした。体型を見ると明らかです。
(すみません。)
頭を使ってプレーしています。ただ、サッカーは、ほんの数秒で判断しないと相手にボールを取られてしまうスポーツです。場面によっては、1秒もないくらいで判断しないといけない場面もあります。
このような短い時間でどのように判断しているのか、遠藤選手には何が見えているのか、どのようなサッカーをやりたいのか、が分かる本です。
これを「眼」と「術」と「戦」の3つの項目から迫っていきます。
読んでいて非常に面白かったです。「こういう考え方もあるのか」、「こういうことを考えてプレーしていたのか」と感じる部分が多かったです。
いつも飄々とプレーしている通り、一筋縄でいかない考え方がたくさん載っています。私も何回もいい意味で肩透かしを食らいました。
また、所々に図解があるので、文字だけでイメージしにくい内容も目で見て分かります。もっと早くこの本に出会えていれば、現役時代のプレーも変わっていたのかなと思います。
あとがきにあります。
「非常は日常であり、日常は非常である」この一言に尽きます。
「なんでこんなプレーがこの場面で出来るの?」と人に思わせるプレー、「うわぁ、すごい」と人を魅了するプレー…
これが出来るのは、「非常は日常であり、日常は非常である」からです。
この真意は、是非本を読んで頂ければと思います。
サッカー以外にも当てはまる様に思いました。
「非常は日常であり、日常は非常である」。こう思える、考えられる様になるには、日々の生活・積み重ねが重要です。そのことも書いてあります。
サッカーの話がほとんどなので、サッカーに興味が無い方はこの本を読むことをお勧めしません。苦痛になると思います。
逆に、サッカーに少しでも興味がある方には、是非読んで頂きたいです。サッカーだけでなく、日常の生活にも生かせるエッセンスがいくつも入っています。
サッカーは引退したので、プレーで魅了することはできませんが、「日常・非常」で人を惹きつける言動(プレー)が出来るよう頑張ります。
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